母乳育児のメリットとデメリット!いつまで母乳で育てる?
断言します、この記事をご覧になっている人は授乳のつらさを知っている(ドォーン!!)
実際、妊娠中にご自身や赤ちゃんのものは一通り買い揃えて
あとは大変なお産が終わったら
自然と母乳が出ると思っていた。
一般の女性であれば、そうではありませんか?
まさか、乳頭から四方八方に母乳が散らばる
自然と出るって聞いてたのに出ない
授乳感覚が空いただけで胸が岩になるなんて聞いてない
乳腺炎で飲める薬が赤ちゃんが飲めるものだけ
母乳が出すぎて赤ちゃんがおぼれそう…
出産前に聞いておきたかった!!
実際、様々な国で「産後大変なこと」のトップ3に「授乳」がランキングしているのは間違いありません。世界中の母という母が苦戦していることでしょう。
完全にミルクに切り替えようか悩んでいるあなたに「あと少しだけ授乳頑張ってみようかな」と思えるお話を少しだけ。
Contents
変化し続ける母乳
ご存じでしたか?母乳は一度の授乳でも変わるし、一日のなかでも変化しますし、月齢にも応じて変化します。
「1回」の授乳中の変化
●前乳…脂肪球は乳腺腔の壁についているため、母乳から出る脂肪は少なめ
●後乳…ある程度射乳していると、乳腺腔が狭くなって壁についていた脂肪球が母乳に流れて脂肪含有量が増加します。約3~4倍の脂肪が含まれていますよ。
「1日」の時間帯の変化
脂肪含有量は朝に高く、夕方から夜間にかけて低くなります。
出産後の経過日数に伴う変化
■初乳(妊娠16週から、産後2日くらいまで)
- タンパク質濃度が高く、特に免疫グロブリンやラクトフェリンなどの感染防御因子が豊富の無敵の母乳
- βカロテンを含むため黄色ががっている
- ナトリウム、クロールを多く含むためやや塩味。
■成乳(産後3日以降)
- 1 初乳と比べてタンパク質濃度が低く、乳頭と脂肪の濃度が高くなる=甘くなる
- 2 成乳になるにしたがって青白色で半透明の母乳へ変化する
- 3 初乳と比べてナトリウム、クロール濃度が低い
消化・吸収・排泄によく、内臓への負担が少ない
母乳にはミルクと比較して、タンパク質、無機成分や電解質が低く、無駄なエネルギーも低いことから
消化・吸収がよく、胃腸、肝臓、腎臓の機能に負担が少ないとされています。
母乳中に割合が多い乳性蛋白は、胃に残りにくく消化しやすいという特徴があり、必須アミノ酸、感染防御因子、ビタミン、インスリン等のホルモンを含んでいます。
一方、ミルクや牛乳に多いカゼインは胃酸によって固まる性質があるため、まだまだ弱い胃腸の赤ちゃんには消化に負担がかかってしまいます。
出産後10日以降は、赤ちゃんが飲んだ量に合わせて母乳が作られます。また脂肪を多く含む後乳には、「脂肪酸」という赤ちゃんの神経系を成熟させる成分が豊富にあるため、おっぱいのなかに蓄えられた母乳が空に近づくまで授乳することがおすすめです。
さまざまな疾患の予防
母乳が予防するとされている各種疾患についても
下痢、下気道感染症、中耳炎、敗血症、制菌性髄膜炎、尿路感染症、ボツリヌス感染症、壊死性腸炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、慢性消化器疾患、リンパ腫、ホジキン病、白血病、糖尿病、アレルギー性疾患、乳児突然死症候群と多岐にわたります。
また、気管支炎や肺炎の予防にもなり、小児喘息の予防にもつながります。
アレルギー性疾患の予防には生後6か月まで母乳のみが理想とも。
赤ちゃんの歯並びや、顔面形成
一般的に哺乳瓶の赤ちゃんは、とても早くたくさんの量が飲めることはイメージが付くと思います。
しかし、ママによって乳首の形や母乳の出口の大きさや場所の癖は千差万別。
複数あるから口の動きを変化させる赤ちゃんの口のなかの動きはとても複雑で、
母乳の出口は15~20個ある中から、出る場所を狙って吸啜しているとも。もちろん、出ない乳腺を狙って吸っていることもあります。
この哺乳運動が、顎の筋肉の発達させ、さらに脳の刺激となり、全体的な発育にいい影響を与えます。
赤ちゃんが母乳やミルクを飲むには、顎や舌などを使わなければ出来ません。顎の発達は、咀嚼(そしゃく=噛む)力の発達とともに正しい歯並びを作る基礎となります。
哺乳は、吸着・吸啜(きゅうてつ)・嚥下(えんげ)から成り立ちます。
吸着は口唇と舌で乳首・乳輪部を捕らえ、密着状態を維持することです。
吸啜(強く吸うこと)は舌の波動状運動によって乳首・乳頭を圧搾、吸引して母乳やミルクをしぼるように引き出すことです。
嚥下(=飲み込むこと)は、母乳やミルクを食道へと移送することです。
赤ちゃんは、哺乳をする時に舌を波動状に連続してうねらせ母乳を引き出していますが、この運動は約0.8秒の周期で、1回の哺乳で800から1000サイクル繰り返されます。
嚥下は、哺乳をしている赤ちゃんは大人と異なり、呼吸をしながら飲み物を食道へ流し込むようになっています。
口や舌、顎の筋肉を上手に使って哺乳することは、栄養摂取だけでなく、授乳 後の離乳食を摂取するための機能と、さらに顎に刺激が加わることで、その発育に大きな影響を与えます。
また、授乳時の姿勢をよくすることで歯並びをよくするといわれています。
母親側のメリット
授乳で産前の体に戻ることをサポート
赤ちゃんが乳首をくわえ、刺激されることで脳からオキシトシンがでます。
このホルモンが、子宮がもとに戻ることのお手伝いをしたり、出血量を減らしてくれます。
また、産後の骨盤のグラつきもこのホルモンのおかげで早く靭帯が固めてくれます。
女性ホルモンの分泌で体を休める
同様に授乳中にでるホルモンのプロラクチンが、排卵の再開を遅くすることで、自然な出産間隔に調整してくれます。
また、月経が減ることで子宮にかかる負担を減らす意味でも月経の再開が遅くなることは望ましいことだと思います。
病気の予防
授乳をすることで月経期間が少しでも減り、閉経前乳がん、卵巣癌、子宮体癌を予防します。閉経後の骨粗しょう症も予防できます。
また、糖尿病や関節リウマチの予防にも。
授乳中だけではなく、何年後、何十年後に起こる病気のリスクを下げる力もあります。
消費カロリーの増加
完全母乳の場合、母乳を作るために一日約800~1000kcalも消費するといわれています。
成人女性の一日の消費カロリーは訳1600kcalほど。つまり完全母乳の場合はその半分以上も母乳を作ることにカロリーが消費され、赤ちゃんにたくさんの母乳を飲ませてあげることが、そのままエネルギーの消費につながります。
また、授乳だけでなく搾乳すること(母乳の分泌+搾乳によるエネルギー消費)も同様にエネルギー消費となるため、産後ダイエットにつながります。
デメリットは?
赤ちゃんが母乳を飲んでいる量がわからず、不安になることもあります。
また、授乳間隔が短く、大変に感じることもあります。さらに、母乳分泌が悪いと赤ちゃんの体重が増えず、心配になる方が多いです。
ミルクだと他人に赤ちゃんを長時間預けることもできなくはないですが、母乳育児をしている場合は難しいです。乳房、乳頭トラブルがおきる事もあります。母乳から赤ちゃんが栄養を得ているので、自分の食べ物にも気を使う必要があります。お薬も限られたものや、リスクと隣合わせに。また、長時間同じ姿勢をとることや赤ちゃんを見守りながらの授乳には肩こりや首のつらさが伴います。
これらがデメリットと言えます。メリットとデメリットを考慮し、ライフスタイルに応じて選択する必要があります。
まとめ
ここまで母乳育児についておすすめしておりますが、ミルクで育てたからといって免疫が弱いとか消化器の弱い子に育つなんてことはありません。現にミルクで育ったマーリッシュオーナーはとても元気な成人男性です。
ライフスタイルや、ママさんの精神状態に合わせて選択していただきたいです。
母乳育児は、赤ちゃんの健康を守り、母親にも多くのメリットがある素晴らしい育児方法です。 最初は困難に感じることもあるかもしれませんが、正しいテクニックとサポートがあれば母乳育児を行うこともできます。母乳育児は、愛情と絆を深めていく貴重な時間です。 苦労もありますが、母乳育児の過程で一緒に素晴らしい思い出を作っていくことができると良いですね。