産後の健康管理を徹底解説―母体の回復支えるケア方法とは?
出産後の回復期と呼ばれる「産褥期(さんじょくき)」は、母体が元の状態に戻る大切な期間です。
ただ、慣れない育児の忙しさから、自分の健康管理を後回しにしてしまうことも多いのではないでしょうか。しかし、産後の健康管理を怠ってしまうと、体の回復が遅くなってしまうこともあります。
この記事では、産後の体と心の変化に悩んでいるお母さんに向けて、「産後の健康管理」のポイントをご紹介していきます。
産後は大きく分けて3つの要素が変化する
産後は、思っている以上に体も心も変わっていく時期と言われています。
産後の体の変化は今後の悩みにも直結していくため、きちんと正しい情報を確認しておきましょう。
産後の子宮回復は最大8週間
出産をした後、子宮は大きく拡張された状態から元のサイズに戻るために収縮していきます。
この「子宮復古」と呼ばれる子宮収縮は、約6〜8週間かかります。
その間に、無理な運動や過度な活動を行ってしまうと、子宮の回復が遅れるほか、産後の出血(ロキア)が長引く可能性もあります。
また、帝王切開で出産した方の場合、傷口の回復にも関わってくるのです。
このような体の回復も、産後の健康状態に大きく影響していきます。
産後のホルモンバランスとメンタルヘルス
出産後は、子宮膜を厚くしていたエストロゲンと乳腺を発達してくれていたプロゲステロンのレベルが急激に低下してしまいます。
この急激なホルモンの変化が原因で、多くの女性が情緒不安定や産後うつを経験するのです。また、育児のストレスや睡眠不足が重なると、精神的な負担がさらに増えていきます。
例え、産後うつまでメンタルが落ち込まなくても「ちょっとしたことにイライラする」「何もしていないのに涙が流れる」なども、産後に起こるホルモンバランスとメンタルヘルスの変化です。
産後の体重減少には、1年以上かかることも
多くの女性が産後に体重の減少を期待しますが、実際には妊娠前の体型に戻るには数か月、場合によっては1年以上かかることがあります。
特に母乳育児を行っている場合、過度なカロリー制限は母乳の質や量に影響を与えるため、出産直後のダイエットは推奨されていません。
そのため「なかなか体重が戻らない」「ダイエットしたいけど、できない」などの理由で、ストレスを感じてしまう方も多いのです。
産後の健康管理に欠かせない4つのポイント
産後は体の変化だけではなく、心も大きく変化していきます。
その変化途中に健康管理を怠ってしまうと、ちょっとしたことでもイライラするほか、体調を崩してしまう原因に。
そこで、ここからは産後の健康管理に欠かせない4つのポイントをお伝えしていきます。
産後の健康管理のポイント①短い睡眠をこまめにとる
産後は、体が疲弊している状態であるため、できるだけ多くの休息を取ることが大切です。しかし、思うように睡眠を取れないのが現実。
そのような方は、日中に短い仮眠を取るなど、休む時間を意識的に確保していきましょう。
また、赤ちゃんが寝ている間に自分も休むように心がけることが大切です。
「最低限、これだけはやりたい。」「これは次の日に回せる」という判断も、心と体を休ませる重要なポイントです。
産後の健康管理のポイント②鉄分とビタミンDを意識した食事
産後の回復を早めるためには、栄養バランスの取れた食事が欠かせません。
その中でも鉄分やビタミンDは失われがちなため、レバーやほうれん草、魚などを積極的に摂取していきましょう。
しかし「時間もない」という方もいますよね。そのような方は、欲しい成分が含まれた片手で飲めるスムージーなどもおすすめです。
産後の健康管理のポイント③骨盤周りを鍛えるストレッチ
産後の運動は体型を戻すだけでなく、気分をリフレッシュさせてホルモンバランスを整える効果もあります。しかし、出産直後は体が回復途中であるため、無理な運動は禁物。
産後は、なるべく軽いウォーキングやストレッチから始め、徐々に運動量を増やしていきましょう。特に骨盤周りの筋肉を鍛えることで、骨盤の歪みを矯正し、腰痛の予防にもつながります。
産後の健康管理のポイント④自分のメンタルヘルスケア
産後うつや育児に対する不安は、孤立感やストレスを引き起こしていきます。
パートナーやご家族とのコミュニケーションが取れていると安定していきますが、ホルモンバランスの崩れからすれ違いが起きてしまうことも。
そのような時は、1人の時間を作るほか、気分をリフレッシュできる行動を考えていくことがおすすめです。
例えば「イライラしたら紅茶を入れてみる」「気分が落ち込んだら、窓を開けて深呼吸してみる」など、気分を切り替えるポイントを作り出していきましょう。
産後の健康を保つ3つのポイント
産後は自分の健康管理にも目を向けていく必要があります。しかし、健康管理の方法を間違えてしまうと、さらに悪化する可能性が高くなります。
ここからは、産後の健康を保つための3つのポイントをお話ししていきます。
産後の健康を保つ3つのポイント①健康的な体を目指す
産後の体型を早く戻したいと考えるのは自然なことですが、無理なダイエットは体に悪影響を及ぼします。特に母乳育児を行っている場合、栄養が不足すると母乳の質や量が低下する恐れがあるためです。
産後は回復期間と割り切り、バランスの取れた食事を心がけ、適度な運動を取り入れながら健康的に体型を戻していきましょう。
産後の健康を保つ3つのポイント②運動は医師に相談
産後、すぐに激しい運動を始めることは、体に大きな負担をかけます。
特に腹筋運動や無理なストレッチは、腹直筋離開(腹筋が分離してしまう症状)を悪化させる可能性があるため、注意が必要です。
「この運動はやっても大丈夫かな」と悩んでいる方は、しっかりと医師の判断を仰いでいきましょう。
産後の健康を保つ3つのポイント③ストレスを放置しない
産後は、ホルモンバランスと慣れない行動の積み重ねでストレスを感じやすくなります。そのため、自分に合ったストレス解消方法を見つけていきましょう。
例えば、友人と話すことや趣味の時間を作る、または家族にサポートをお願いするなど、自分自身のメンタルケアを怠らないようにすることが大切です。
1日だけ預けることができる施設などの情報も事前に集めておくといいかもしれません。
おわりに
産後の健康管理は、母親自身だけでなく赤ちゃんの成長にも大きく影響を与えます。そのため、こまめな睡眠や栄養バランス、無理のない運動、そしてメンタルヘルスのケアを行っていきましょう。
当院では、産後の骨盤ケアなどを中心としたマッサージを行っています。
保育士が常駐するキッズスペースも用意していることから、安心して施術を受けることが可能です。
「産後の下半身太りが気になる」「骨盤の開きを改善したい」という方は、ぜひお越しください^^